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「零ーゼロー」  

今から12年前の映画です。
主な出演者は杉浦太陽、高野八誠、辺見えみり、矢部太郎(カラテカ)、松田賢二、等。

大東亜戦争末期、白菊という航空機で特攻する事になった特攻隊員達の話。
末期なのでもうまともな航空機もなく練習機まで引っ張り出して特攻させます。
最初の頃こそ、そこそこの戦果をあげたようですが相手も馬鹿ではない(ずっと馬鹿であって欲しかった)のでレーダーで感知し戦闘機で襲い掛かってくるので目標に辿り着くのも難しくなっていました。
戦果よりも死ぬ事に意義があるような状態です。
多分戦記物になるんだろうけど、低予算で製作されたからか白菊の模型が一機出てくるだけで(しかもプロペラガ風に揺れてるだけ)タイトルに零と明記されてるにもかかわらず零戦は出てきません(主人公がやたら零戦にこだわっているだけです)、訓練場面も全くなく主人公が酒を飲む、仲間(正確には部下ですが作品中では仲間と強調されてるので)と宴会、彼女との逢瀬、上官との対立、後は外をブラブラの繰り返しなので、海軍航空隊青春記?ツッコミどころ満載の映画です。
主役は長谷川龍太郎上飛曹(杉浦太陽)という人物、撃墜数34機(実在の人物で海軍の至宝と言われた搭乗員の西澤廣義さんの単独撃墜数が36機といわれてるのでそれと比べてみても長谷川は相当の技量の持ち主のようです)の凄腕搭乗員です。
年齢は出てこないけどだいたい23~25くらいではないかと。
杉浦太陽の当時の年齢が23歳なので年相応の役ではあるけれどこの人童顔なので少年飛行兵にしか見えないです。
それと共演者の高野八誠や松田賢二の声が落ち着いた低音の声(とても好い声です)なので余計に子供っぽさが目立つというか・・・。
演技力もあまりないようなので見る側には結構厳しく退屈ではあるかも。
長谷川のキャラクターも凄くて・・・いつも大刀引っ提げて歩いてます(軍刀との違いが私には判りません)、上官を上官とも思わないし傍若無人です。
初っ端から上官に挨拶しないからと殴られ、「陸軍の芋みたいなこと言うな」と毒づいてます(海軍だろうが陸軍だろうが上官に欠礼したら怒られるわ)。
ちょっと人格破綻気味?な彼をやんちゃな可愛い男だと信じて疑わない芸者の彼女が辺見えみりです。
特攻を憎み断固拒否、これは解らないでもないです一線でバリバリ敵機を墜としてきた搭乗員の誇りを踏み躙る行為ですから。
あと分隊士殺しの異名も持ってます、分隊士は直属の上官になるのですが長谷川みたいに予科練出身の叩き上げの搭乗員に比べて操縦技術も未熟な士官なので今まで3人いびって潰して病院送りにしてしまってます。
長谷川には彼なりの言い分もあるようですが時には分隊士にこっそり煙草の中身を食べさせたりもしていたようなのでこれはやはりイジメでしょう。
戦闘機乗りとしての矜持を持つのは立派だしそれを守る為なら上層部とだって喧嘩するのは上等、でも挨拶はしない(できないのか?)自分がルールブックだと言わんばかりの振る舞い、これでは単なる非常識な馬鹿です。
それと二言目には零戦でないと乗りたくない・・・ここまで零戦に拘るのは何故か・・・死ぬなら零戦でということなのでしょうか?。
そんな分隊に新しいカモ?になるかもしれない久我松男少尉(高野八誠)が赴任してきます。
長谷川はまだ会ってもいないうちから、もう追い出す気満々です。
久我は予備学生士官で温厚な人です、この人は自分は特攻に行くことを受け入れて(ここに至るまでには苦悩したとは思いますが)出撃するまでは分隊の皆と仲良くしようと思ってるのですがこの時点でもうすでに特攻大反対の長谷川とは考えが食い違ってるので対立してしまいます。
対立はするけど長谷川みたいに常に喧嘩腰ではなく部下への心遣いも完璧な大人です(気遣いすぎちゃうかと思うくらい)、歳は多分久我のほうが同じ位もしくはいくつか下だと思われますが精神年齢は長谷川より上です。
平行線の二人を近づけたのは「一視同仁」という言葉。
長谷川が唯一尊敬する恩師に教わった言葉「一視同仁」、久我はその言葉を信条にしていました、それが判って二人の間に上官と部下とは違う友情が生まれます。
友情が芽生えても長谷川は無礼非礼の塊みたいな男ですが。
特攻への考え方の違いは最後まで平行線のままでしたが、人間として認め合うようにはなった2人、でも久我小隊にも出撃命令が出てこの時代を取り上げた作品だけにハッピーエンドなわけはなく観る側も多少どんよりとした気分にはなりますがツッコミどころ満載なので後々までどんよりが続く事はありませんでした。
長谷川龍太郎という役は杉浦太陽が演じるには難しい役だったように思いました、果たして杉浦太陽以外にもあの役を魅力的に演じられる俳優がいるのかどうか…。
私はいないと思う・・・どっからどう役作りをしてもどうにもならない気がする。

久我の台詞には、実在した予備学生士官が遺した言葉を参考にしているなと思うのがいくつかありましたが、「一視同仁」という言葉はちょっとそぐわない言葉だなと思ってしまった、人間みな平等というのは間違ってはいないけど軍隊は階級社会なのでそこでそれを言ってもなぁ。
実際、兵学校出の士官には「ここは海軍だ」と一蹴されてましたが。
兵学校出の士官、井上少尉(松田賢二)の下士官に対する行いがあまりに酷いものなのでそれに反発しての言葉だったのだろうとは思うけど、にしても「一視同仁」はないような気がする。

辺見えみりの芸者というのも変な感じだったし日本髪結ってないし。
他にも芸者が数人出てきたけれど一人も日本髪じゃなかった。
失礼だけど最初は娼妓なのかと思った。
あまりにも芸者に見えなさ過ぎて。
細かい所を指摘してツッコんだらキリがないくらい。
矢部太郎も搭乗員役でしたがこのキャラクターはないわと(御本人は面白くて可愛い人ではないかと思われる)。
こういうタイプの人間が搭乗員のはずないだろう搭乗員馬鹿にしてんのかと腹が立った(搭乗員になる以前で撥ねられるだろ普通は)、。
搭乗員が搭乗員になるまでには死に物狂いで訓練に訓練を重ねて、それを乗り越えて初めて搭乗員になれるのに、何でアレよ・・・。
まかり間違ってああいう搭乗員がいたとしても空戦になったらどんなに凄腕の搭乗員が仲間にいてカバーして守ろうとしても無理です、すぐに戦死です。

それとやたらエースとか撃墜王という言葉がでてきましたが当時の日本にはそういう言葉はありませんでした。
海外ではあったみたいですが日本では戦後ファンが言い出した言葉のようです。
実際当時の搭乗員の方々はそう言われる事が嫌みたいです。
エースという言葉があるとしたらそれは個人を指す事ではなく当時戦った全ての搭乗員がエースだそうです。

井上少尉の台詞に「お前ら(長谷川たちを指す)はいいよな、頭使わずに特攻に行けて」などというのがありましたが予科練は馬鹿ではありません、予科練も誰彼なしに入れないし難しい試験に合格しないと入れません、予科練でトップクラスの成績なら兵学校にも行ける。
ただ飛行機乗り志望なら予科練に行った方が早く飛行機に乗れるからと海兵ではなく予科練へ進む人もいました。
長谷川や大西見てたら悲しいかな優秀には見えないからついつい馬鹿にしちゃったのかもしれないけどそれはあまりにも予科練生に失礼だ。
兵学校出身者にも人間的に立派な人もいたけれどそうでない人がいたことも確か。
兵学校出の自分たちが優秀でそれ以外は認めようとしない。
この映画に出てきた井上少尉はそういう人です。
それを松田賢二が上手く演じてたなと思います、やや士官というよりもヤ○ザ寄りな感じがしないでもなかったけど。
第二種軍装(白の軍服)がとてもよく似合ってました、姿勢がいいのと厚みのある鍛えてるであろう体型がいかにも兵学校出の士官という感じで。
当時は30代で少尉にしたら歳いってますがそんなに違和感はなかった。
下士官や予備学生を主役にしたら時々とんでもない悪役の兵学校出の士官が出てきますが、そんなのばかりではないです・・・多分。
兵学校出であろうと下士官、予備士官であろうと人間きちんとした人もそうでない人もいますから。
久我少尉役の高野八誠、こちらもすらっとしたスタイルの良い俳優さんでいかにも予備学生士官という雰囲気が出ていて良かったです。
この人もまたすらっとした体型に第二種軍装がよく似合ってました。
私は松田賢二の軍服姿の方が好きですが。
海軍軍人は軍人である前に紳士であれと言ったそうですがそういう意味では正規の軍人よりも予備学生士官の方が近いんじゃないのと思う、だって紳士はめったやたらに人殴らないし。
宴会時、久我少尉についていた芸者役の女優さん(菅野美寿紀)が綺麗な人でした、辺見えみりは顔立ちが派手なのであの頃の女性を演じるには無理があると思う。

結局、高野八誠と松田賢二が格好良かったなぁとかあの女優さんが綺麗だったなぁとか思っただけの映画でした。
演じる側があの頃生きて死んでいった若い人達のただただ理不尽としかいえないような命令に自分なりの矜持とか国を護る=愛する人を護るという気概のようなものを理解して演技をしていたかといえばどうなんだろう。
自分が経験したことのない事をしたように演じるのが役者というものだろうけど、難しいと思います、こういう役は。
大半が宴会な芝居の中で何をどう演じろと言うのかと思わなくもないけど。
いろいろ考えたら松田賢二が一番良かったように思う。
兵学校出の士官だからと威張り散らしながらも、下士官に比べたら搭乗員としてのキャリアも技術も浅い、それが自分で解ってるから苛立って予備学生士官や下士官に辛く当たる、未熟でもいざとなったら指揮官先頭で行かなければならないしでも未熟だから下士官は付いてきてくれない、長谷川なんかはぺーぺー士官が何言うとんねんとあからさまに馬鹿にして軽く見てたし。
井上少尉も最後は特攻出撃が決まって征くことになるのですが前夜感情を爆発させて長谷川をボコボコに殴ります・・・嫌な奴だけど何となくではありますがこの鬱屈した感情が理解できなくもないので見ていて切ないような気持ちになりました。
多分「間違ってることは間違ってるんだろうがよ!!」と上層部にも盾突いて我が道をゆく長谷川の生き方がが少し羨ましかったのかもしれません。
自分には階級はあるけど実力が伴わないから一つの駒みたいな感じで上に動かされるまま生きていかなければならない、長谷川には階級はないけど実力があるから上層部にも言いたいことを言って生きることができる、何かイラッとするわという感じでしょうか。
井上少尉にしても確かに感じの悪い人ですが人生何もかも諦めるには若過ぎる歳だもんね・・・。

それと散々べたべたしてた長谷川と彼女のゆかりですが実は清い交際だったことが最後に判明しその事実に一番驚いたのでした

今は夫婦の松田賢二と辺見えみりですがこの当時は、辺見えみりもまだ最初の結婚もしてません、人の縁とは不思議なもんです。


「一視同仁」とは、誰をも差別せず全ての人を平等に見て一様に仁愛をほどこすことだそうです。
これを実行に移すことは難しい、人間は上を見ては羨み嫉妬し下を見ては安心する厭らしい生き物だったりするので。

この映画は時代考証もきちんとできてはいないし、あまり真剣に観る作品ではないかなぁと思います。
大金掛けて製作しても難しいのがこの時代の映画、低予算では尚更難しいのではないかと。
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